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9月24
野田首相「原発」演説 事故の重大性が分かっているのか
2011年9月22日、国連本部で開かれた「原子力安全首脳級会合」での野田佳彦首相の演説は、耳を疑いたくなるようなことばの連続でした。
「(東電福島原発の)事故は着実に収束に向かっている」
「放射性物質の放出量は当初の400万分の1に抑えられている」
「日本は原子力発電の安全性を世界最高水準に高める」。津波の備えが不十分だったことは認めたものの原発依存そのものを見直すとは一言もいいません。
それどころか新興国などの「高い関心にしっかり応えていく」と、財界が求める原発の輸出を推進する立場は鮮明です。
いったい野田首相には、「レベル7」という世界最悪水準の原発事故を引き起こし、いまだに数万の人たちが住み慣れたふるさとに帰る見込みもたっていない、事故の重大性についての認識はあるのか。
事故を機に全世界に広がっている、原発からの撤退を求める声は聞こえないのか。避難生活を続ける被災者や、放射能から子どもたちをどう守るか真剣に悩んでいる親たちの気持ちが少しでも分かるなら、とても「着実に収束」だの「最高の安全性」だののことばは、いえなかったはずです。
首相は事故を起こした原子炉の「冷温停止」を年内に前倒しして実現するといいます。
冷温停止とは原子炉圧力容器の底の温度を100度以下にすることだといいますが、原子炉の中では核燃料が溶融し容器の外にまで流れ出している可能性があるというのに、外側の温度を測っただけで「着実に収束」などとはとてもいえません。
首相は放射性物質の放出が「400万分の1」に減ったといいますが、事故以来これまでに放出された放射性物質の量は広島型の原爆に換算して20発分にものぼるといわれます。放射性物質は長期間にわたって被ばくの危険があります。
住民の危険をとりのぞくために不可欠な除染の見通しもたっていないのに、「収束」が近いなどと思う被災者は一人もいません。
運転を続ければ放射性廃棄物がたまり続け、いったん事故を起こせば制御できなくなる原発の危険性は、今回の事故でいっそう浮き彫りになりました。
原発事故は、時間的にも、空間的にも、社会的にも、他のどんな事故とも違う「異質」な危険です。
事故の重大性を直視するなら「最高水準の安全性」が今にも実現できるようにいって新たな「安全神話」をふりまくのではなく、原発からの撤退をこそ決断すべきです。
野田首相は国会の所信表明演説でも、定期点検などで停止中の原発は「安全」が確認されれば再稼働を認めるといいました。
しかし事故原因が調査中で、その対策も、規制する体制づくりもこれからというのに、「再稼働」だけを先走りさせるのは許されません。
いわんや、そうした原発の輸出を推進するなど、無責任のきわみです。
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