藤木くにあきblog 日本共産党 庄原市委員会 市委員 藤木邦明
  • 8月
    14

    2011年7月23日に死傷者200人超を出した中国浙江省温州での高速鉄道事故から3週間。
    「人命軽視」との内外の批判を受け、中国政府は犠牲者への補償や安全対策の強化などを進めています。
    その一方で中国のメディアが「独立王国」と呼ぶ中国鉄道省の姿が改めて浮き彫りになっています。(北京=小寺松雄)

    癒着 発注者と受注者が事実上同じ
    隠蔽 「事故の時はいつも同じことを」
    鉄道省の職員は約200万人で中国最大の官庁。その巨大な機構は内部に警察を抱え、検察、裁判所機能も持っています。

    大きな機構と権益を調整するため1970年には交通省と統合。しかし5年後に鉄道省として再独立し、その後は統合には抵抗してきました。そのもとで鉄道省幹部が関連会社の代表を兼ねることが通例となっていました。

    今月初めに公表された財務報告によると、同省の現資産は3兆4000億元(1元=約12円)、今年上半期の収入は3500億元。

    工事発注も巨額に達し、発注者と受注者が事実上同じという体制が、汚職を生みだす重要な要因となったことは明白です。今年2月に劉志軍鉄道相が汚職容疑で解任されたのは象徴的事例です。

    方針を変更
    高速鉄道の敷設について鉄道省は、2003年まで国産方式を追求してきました。
    しかし、同年鉄道相に就任した劉氏は早期開通のため、時間のかかる純国産方式を捨て、資金はかかっても外国技術を導入する方向へ方針を変更。
    日本、フランス、ドイツなどの協力を得る方式には、国産派からの強い反発があったといわれています(週刊紙「南方週末」7月28日号)。

    同氏の汚職・解任はこうした流れの中で起こりました。

    内部告発が
    鉄道省の隠蔽(いんぺい)体質も以前から指摘されてきました。

    今回の事故でも、乗客全員の救助活動が終わる前に、追突した先頭車両をショベルカーで破壊し、穴に埋めました(鉄道省側は「救助作業をやりやすくしただけで、埋めてはいない」と主張)。

    事故後、ある主要駅責任者は「事故があるとすぐ現場をきれいにする。鉄道省はいつもそうだった」「まず責任逃れを考える」と内部告発に踏み切りました(経済観察報8月1日付)。

    事故後、温家宝首相は現場に出向いて内外記者団の質問に答えましたが、直接に責任を負う盛光祖鉄道相の記者会見はいまだに行われていません。

    温首相の記者会見のキーワードは「透明・公開」。
    事故原因調査と再発防止には、何よりもこの原則の貫徹が求められています。
    それは同時に鉄道省の体質を一新する道でもあります。

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  • 8月
    12

    【北京=小寺松雄】2011年8月10日、中国政府は温家宝首相が主宰した国務院常務会議で、7月に起きた高速鉄道事故を受け、新たに建設される高速鉄道の開業当初の運転速度を、安全確保のために減速することを決めました。
    また盛光祖鉄道相はこの日の会議後に中国メディアに対し、現在営業中の高速鉄道についても減速することを明らかにしました。

    盛氏によると、現在最速の上海―杭州路線は最高時速350キロを300キロに、北京―上海は同300キロを250キロに減速。同200キロの在来線も160キロに下げます。

    温首相は7月28日に事故現場に出向いて記者会見し、「速度第一ではなく、安全第一だ」との指示を出しており、これに沿った措置となりました。

    常務会議では7月の事故について「事故原因の徹底的解明と徹底的反省」を確認。
    今後の調査では「直接的原因だけでなく、事故発生の根源にまでさかのぼり、設計、製造、管理という側面から根源的な問題を明らかにする」ことを決めました。

    また、認可されたものの未着工の鉄道計画については安全性の再評価を実施。新たな鉄道建設は一時停止することも確認しました。

     常務会議では盛鉄道相も発言し、「安全管理の不十分さと事故後の対応の経験不足」を反省すると述べました。

     また会議の結果、これまでの政府の調査チーム(責任者=駱琳国家安全生産監督管理総局長)を改組。
    副責任者だった彭開宙鉄道省次官をはずし、代わりに工業・情報化省次官らを充てました。
    鉄道省幹部が調査チームに含まれていることへの世論の批判が強いためです。

     新たな調査の点検項目には「重要な職にある職員の出勤状況」も含まれるなど、鉄道省の体質にも調査が及ぶものとみられます。

    図

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  • 8月
    6

    【北京=小寺松雄】中国鉄道省で情報技術を担当する幹部が数多くの関連企業で代表を兼ねていたことが中国メディアの報道で明らかになり、同省の管理・発注体制のありようが問われています。

     2011年8月3日付の第一財経日報によると、昨年まで鉄道省情報技術センターの主任だった呉建中氏が、在職中に傘下の18企業の代表を務めていました。

    情報技術センターは鉄道省のコンピューターやソフトを一括して扱う部門。
    関連企業はそのもとで開発、研究、メンテナンスなどを請け負っています。
    株式の多くは鉄道省が保有し、呉氏はすべての会社の代表を兼任していました。

    中国の公務員の兼職は「所属機関の承認が必要」とされていますが、呉氏は承認を受けていませんでした。

     同紙は、センターの主任が関連企業の代表を兼任することは「審判と選手が同じというようなもの」と指摘。

    2010年に同センターが実施した事業の経費が「当初1021万元の予定だったが、終わったときには追加請求が1008万元あった」ことをあげ、不透明な発注の実態を告発しています。

    鉄道省は今年2月、当時の鉄道相が汚職容疑で解任されるなど、幹部の職務規律が問題になっていました。

    盛光祖鉄道相は8月2日の省会議で、7月23日に起きた高速鉄道事故の反省と教訓について発言。
    省職員のありようについても「国家と国民の利益を至上のものとする」「特に幹部の思想教育を強化する」と強調しており、今後の具体化が問われます。

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  • 7月
    30

    問われる公開・透明の原則
    【北京=小寺松雄】 中国浙江省温州市で起きた高速鉄道列車追突事故について、鉄道省が2011年7月23日の事故後数時間のうちに「信号システムの欠陥」が原因と知りながら、7月28日まで公表しなかったことが明らかになりました。

    中国メディアによると、28日に温州で開かれた政府事故調査チームの会議で彭開宙鉄道次官は、信号の欠陥を知った鉄道省が24日未明、同種の信号設備がある全国の駅に信号システムの監視を強化するよう通達を出していたと述べました。
    しかし鉄道省は28日まで「落雷による設備故障」としか発表していませんでした。

    今後の調査は、先行列車が停止したことが後続列車になぜ伝わらなかったのか、落雷による設備故障で「赤」となるはずの信号がどうして「青」のままだったのかが、一つの焦点になります。
    また、後続列車の自動列車停止装置(ATS)の一種である自動列車防護システム(ATP)がなぜ作動しなかったのかも引き続き解明が求められます。

    温首相指示を機に、事故原因究明の過程で、中国政府や鉄道省が真に「公開・透明」の原則を貫けるかどうかが問われています。

    中国メディアによると、23日の浙江省温州市での鉄道事故による死者が1人増えて40人になりました。重傷だった中国人男性が28日夜に死亡しました。負傷者は190人以上です。

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  • 7月
    29

    【北京=小寺松雄】2011年7月28日で、中国・浙江省温州市で起きた高速鉄道事故から5日たちましたが、いまだに解明されていない問題があります。

    事故の原因は
    事故翌日の7月24日、鉄道省は「落雷による設備故障が原因」(王勇平報道官)と発表しました。
    上海鉄道局は7月28日、さらに具体的に「落雷で、信号が赤になるはずなのに青のままだった。職員も気づかなかった」と述べました。

    追突された列車の運転士は「自動停止ではなく、止まれという指示があった」と周辺に語っていると報道されています。
    また追突した列車(運転士は死亡)の自動列車制御装置(ATC)は、機能しませんでした。

    なぜ、埋めたのか
    事故直後の中国当局の対応をめぐる最大の疑問は、「転落車両を埋めたものの、すぐにまた掘り出す」という不可解な行動でした。「埋めた」ことについて王報道官は「救出や調査をスムーズに実施するための応急措置」と説明しました。

    内外の批判の高まりの中で翌日、掘り出しましたが、当局はまだ一連の行動の経過を説明していません。

    鉄道相解任の理由
    今回の事故で、中国国民の疑念をいっそう強めているのが、今年2月の劉志軍鉄道相(当時)の規律違反による解任です。中国共産党規律委員会は「調査中」として詳細は発表していませんが、鉄道関係業者から賄賂を受け取ったといわれています。

    解任以来、「賄賂の分だけ手抜き工事があったのでは」「安全軽視で早期開業に突っ走った」との批判がインターネット上で高まっていました。

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